宴のダラダラ白書

宴如月です。様々なジャンルのことをダラダラと書いていきます。痒い所に手が届く、そんなブログを目指しています。このブログはアフィリエイト・アソシエイトによって収益を得ています

【シナリオ】もう一つの英雄譚 その2「始まりの冒険とその試練」【ソドワ2.5】

1.シナリオ導入

 PT結成のためのシナリオになります。ヴァグランツであるPC達は、通常通り冒険者の宿で依頼を受けるとは限りません。むしろ、自ら率先して問題に立ち向かっていくスタンスを取っています。そこで、こちらから問題を投げかけましょう。

 シナリオの始まりは、街中で一人の中年男性が声を張り上げるところから始まります。

「た、助けてくれ!誰でもいい助けてくれ!私の娘が誘拐された!」

「ぼ、冒険者を雇うような金は無い!ないが……だれか助けてくれぇ!」

それは悲痛な叫びです。話を聞くと、3日前に街の商店に買い物に行ったきり、娘が帰ってこないといいます。誘拐ではないかと冒険者の宿に依頼を出しに行ったが、にべもなく断られたと話します。

「すべては金だ。ガメルが無いのが悪いんだ。私は小さな船で細々と漁をしているだけの漁師。とても冒険者を雇うような金はない」

「それでも。いやだからこそ、娘は世界一大切なんだ。頼む、どうか娘を見つけてくれ、礼は即金では払えないが、何年かかってでも必ず払う。この通りだ!」

と男は土下座をして頼み込みます。ここまでされれば、ヴァグランツであるPCは依頼を受けないわけにはいかないでしょう。

 この導入は場所を変えて他のPCでも同様に行われます。すなわち、全てのPCが一度に一人の男と会う必要はありません。重要なのは、この話を聞いた後の合流先なのですから。

 

 男に娘の移動先などを聞くと、買い物に行ったはずの商店の場所を教えてくれます。

 

2.集結とPT結成

 PC達が商店について娘について尋ねると、店主は突然、

「よし、合格だ。中へ入れ」

と命令口調になります。PLによってはここで不快感を露わにして帰ろうとする場合もありますが、この店主役を務めているのは魔物レベル8”研鑽を重ねる錬金戦士(Ⅲ→P441)”と同格の戦士です。抵抗するようであれば、

「つべこべ言わずにさっさと入れ!」

と強引にPCを中へ連れていきます。店の中には地下への入り口が開いており、そこへ入るよう指示されます。なお帰ろうとするのであれば、

「ん?ああ、娘が誘拐されたという話な。あれは嘘だ。詳しくは中にいる隊長に聞いてくれ」

と話します。

 

 他のPCも同様にして地下に入ったところで、全ての始まりの話をしましょう。また同時に、ここでPT結成となります。

 中にいる”隊長”と言われたのは、ティエンスの戦士ダルガッツ=リルクヴィストです。彼らはPC達が集合すると、こう話し始めます。

「よく集まってくれた。まずは君らの無欲に敬意を表したい。君らは報酬ではなく、義理や人情によって動く者たちである」

「今回君たちに依頼したい真の任務には、そうした仁義が何よりも重要となる。よって勝手ながら君らを試させてもらった。だまし討ちになったことを心よりお詫び申し上げる」

 その後、PC達は自分たちが集められた真の理由を聞きます。

「ということで君たちには、勇者PTの手伝い兼露払い兼護衛をつとめてもらいたい。報酬は状況の難易度によってその都度渡そう」

 PC達が依頼を受けるもとい勇者PTの手伝いをすることを承諾すると、まずは試験が始まります。

「先ほど説明した通り、勇者PTを護衛するにあたってそれを彼ら自身に気付かれてはいけない。そこで、技能を持っているかどうかをテストしていく。まずは筆記だ」

 

※もしPLが依頼を受けることを渋るようであれば、これは国からの依頼ではなく個人的な依頼になることを伝えましょう。あるいは、ナリシア達の人となりを深く掘り下げることで同情を誘うのも手です。

・実はナリシアは病弱で……(生命20

・華奢な女の子にこんな重責を……(筋力19

・ナリシアは正直どうでもいいがエルサレアが遠い親戚で……(エルフとティエンス

などなど。

 

 ここからは判定に移ります。判定は4種類あります。

①魔物の知識を問う筆記試験(魔物知識判定 目標値:11/14)

 数々の魔物の特徴が問題文になっており、そこから何の魔物なのかを当てる。

 例題「蛮族でありながら他の蛮族や人族との関りが薄かったことから中立の立場をとっている、エルフと同盟を結ぶこともある下半身が魚類のような蛮族は何でしょう」

 

 弱点値を抜いた場合、シナリオ終了時に能力値成長を+1回する

 

②敵を弱体化させる罠を設置する実技試験(隠ぺい判定 目標値:12/15)

 勇者PTが有利に状況を運べるよう、後ろからおぜん立てする必要がある。そのための罠を設置するが、敵にはもちろん味方である勇者PTにも気付かれてはいけないのだ。

 

 達成値が15を超えた場合、優秀であるとして報酬に+500Gする

 

③悪路を走破する技術を調べる実技試験(軽業判定 目標値:13/16)

 勇者PTは順調な道を行くことになるが、それを追う、並走する、先回りするPC達は必然悪路を進むことになる。果たして乗り越えられるのかを試すのである。

 

 達成値が16を超えた場合、シナリオ終了時の経験点を+500する

 

④真実を見抜き適切に行動する実技試験(真偽判定 目標値:16/19)

 相対するのは善人だけではない。悪人は嘘をつく。また、遺跡は平然とだましてくる。その嘘を見抜くのもPC達の仕事となる。目の前の2つの扉の内、正しい方を選べ。間違えれば泥まみれ。

 

 達成値が19を超えた場合、報酬にさらに+500Gする。

 

⑤実際の先頭に関する実技試験

 以下に優れた伏兵であっても戦闘が出来なければ意味がない。障害の排除もまた任務の内なのだ。

 腕利きの傭兵×2と戦います。

 

 見事すべての試験を突破した段階で、PTは結成されます。以後、皆は運命共同体となるのです。

 

3.勇者PTのお披露目と襲撃

 試験を突破したPC達は、現在街の中を偵察しているという勇者PTの顔を見て覚えに行きます。相手に見られるわけにはいかないため、雑踏に紛れて遠くから勇者たちを見ておくよう指示されます。

 魔物知識判定をして、達成値が15を上回れば、先のデータを公開しても構いません。ある程度勇者PTと皆さん自身が遜色ない実力の持ち主であることがわかります。

 しかし直後、雑踏から悲鳴が上がります。民衆の中から、レッサーオーガ2体と人間形態のドレイクが現れ、勇者PTに襲い掛かります。蛮族も勇者PT結成のうわさを耳にしており、まだ間もない今のうちに叩いてしまおうと考えたのです。

 PC達は加勢に入ろうとするかもしれませんが、隊長がそれを許しません。PC達にはこう言います。

「勇者PTを潰そうとする蛮族が、あの程度の戦力で来ているとは思えない。むしろ、他に伏兵がいることを警戒するべきだ。ドレイクは勇者PTに任せて我々は周囲の警戒に当たる」

「初戦となる任務だ。無事こなして見せてくれ。報酬は一人2500G。戦利品などは自由にしてもらって構わない。頼めるな?」

 

 危険感知判定を行います。目標値は14。成功すると、勇者PTの活躍に熱狂する人々、警備兵の誘導に従い非難する民衆のほかに、こそこそと路地裏に入っていく数人の男たちを見つけます。後を追っていくと、入り組んだ路地の先にある一つの家の中に入ります。家に踏み込むとそこでは、人族の仮面を脱ぎ捨てたオーガ1体と、ザルバード1体が姿を現しています。(先の戦いであまりにも余裕で倒せてしまっている場合は、モヴキラを1体加えましょう)

 

 戦闘が終了すると戦利品判定のほかに、仮面が1つ落ちているのを拾います。内側には謎の紋様が掘られており、微かに邪悪な魔力を感じます。シナリオのアフターストーリーでこの仮面については語られます。

 

4.今後の展望

 勇者PTも無事ドレイクを倒し、民衆を守ることに成功しました。これを受けて、本格的に勇者PTは旅に出ます。それに合わせて、PC達も旅に出ることになります。まずはこの魔族たちの出所を探るべく、周囲の探索からになるでしょう。隊長から、そのような内容を聞かされます。これから起こりゆく大混乱から民衆を守る。それはヴァグランツにとって優先されるべき矜持です。断ることはないでしょう。またこの依頼は国からの命令ではなく、あくまで隊長(もといその裏にいる国王)からの個人的な頼みとして依頼されます。受けてもよいし、受けなくても構いません。PC達が依頼を受けなかったとしても、勇者PTの物語は進みます(無論、その道のりは厳しく困難と悲しみに満ちたものにはなるでしょうが)。

 ここで改めて、PT結成の理由と誓いを立てておくとよいでしょう。

 

 シナリオをクリアしたPC達には、経験点1500点と能力値成長2回と、報酬2500Gと試験での追加報酬、また魔物を倒したとして、420点(モヴキラを含めると520点)を得ます。

 

5.アフターストーリー

PC達が入手した仮面は、騎士団での調査の結果、見た目を自由に変更するための道具であることが判明しました。これをつけることで、魔神であるザルバードは都市の中に入ることが出来たのです。また、ドレイクは自身の魔剣のほかにもう一振りの魔剣を持ち込んでおり、その効果は守りの剣の効果を少し打ち消すものであることがわかりました。この結果、ドレイクであっても都市の中に入ることが出来たのです。

 これらを一体何者が製造したのか。すべては謎に包まれています。これからの冒険で明らかになるでしょう。

 

データ集

・ダルガッツ=リルクヴィスト(ティエンス、29歳、男) 戦士生まれ

技8 体12 心8

A4 B9 C6 D8 E11 F11

器用16+2 敏捷24 筋力23+1 生命25 知力20 精神19

ファイター9 ライダー6 スカウト7

ペガサスを乗りこなすハーヴェス王国騎士団独立対処班第2分隊の隊長。優れた戦士であり義理人情を重んじる人物。